こうちジョイタイムス2000年4月号

時間

 『そこで、あなたがたの歩きかたによく注意して、賢くない者のようにではなく、賢い者もように歩き、今の時を生かして用いなさい』 (聖書)

時間泥棒

 27年前に岩波書店から『モモ』と言う本が出版されました。その中で時間泥棒「灰色の男たち」が出てきます。
 この男たちは自分の時間を持つ人たちから、時間の節約を説き、無駄な時間を削り、何事にもビジネスライクに合理的な生き方を教えます。

 しかし、その結果、人は怒りっぽくなり、その人が望む生活が出来なくなってきます。仕事中毒のようなものです。親は子供と一緒に過ごさなくなり、子供達は自分は愛されてない、価値のない存在だと考えるようになります。

 親の生き方は子供達にも伝染し、遊びの中にも入り込み、子供達から創造性を奪っていきます。時間泥棒に会うと、ゆとりのない、機械的な家庭や社会が出現します。

時の流れ

 自然の中で、時が刻まれています。季節感は1年の時間の流れを教えてくれ、私達の外見は人生の時間の経過(消費)を教えてくれます。

 浦島太郎は竜宮城で楽しい時を過ごしている時は、若いままでした。ところが、地上に戻り玉手箱を開けると、あっと言う間に年老いてしまいました。

 健康で人生が順調な時は、若い若いと思っていても、ある時、
いつの間にか年を取っていることに気付くものです。「今」は瞬間に、過ぎ去りました。
 時間の長さは、年を取るに従って短く感じることを実感します。年を取ると行動も思考も緩慢になり、時間が短くなり、飛び去るように過ぎます。

時を大切に

 私達は本当に下手な時間の使い方をしているのではないかと思います。過ぎ去った時を振り返り、このままでいいのか?と焦ります。時間がただ過ぎていくだけで、満足がありません。
 ある人は何もしないで過ぎる毎日に不安を感じ、ある人は仕事に追い立てられて自分の時間を持てないでストレスを溜めています。 

 モモの著者は言いました「時間は生活である」。時間とはその人がどんな生活をしているかに意味があると言います。怠惰な生活も、忙しすぎる生活も生きている価値を見失っているのではないでしょうか!

健康的な『時間』の使い方について、二つの質問があります。

1) 時間を有効に使っていますか?
 第一の質問は、時間を有効に使っているか?です。3歳の子は言います、「夜がなければいいのに」。 なぜかと聞くと、「遊ぶ時間がなくなるから」です。時間は大切なものです。今の時を、大切に生かしているでしょうか。

2) 心の中に目的を持っていますか?
 そして、もう一つ、その時間には自分が納得できる目的があるでしょうか? 目的は時間の命です。目的は、<時間を大切にする>最も大切な要素です。

 私達は人生に目的を持ち、適度の休息と、時を有効に使う事ができれば最もバランスのとれた人生と言えるはずです。ところが、三日
坊主と「別に」と答える無気力が現代人の姿ではないでしょうか?

聖書からの勧め

1) 人生を考える時間
 私たちは生きている意味を考えているでしょうか。私の場合、生活の中にあった不安は、私自身の存在の意味を理解しないと解決できませんでした。

なぜ、私は生きて存在しているのか?
 (普通、考えても結論は出ません)
何を目標にした生活をすべきか?
 (同じくわかりません)
大切なものは何か?『う〜ん?家族に・・』
 これらの案外 人生の難問に、何か確信のある答を持つ事が、時間を有効に使うカギではないかと思います。

2) 生き方を教えてくる書物
 私たちが自信を持ってお勧めする書物、それは聖書です。
 読まれたことはあっても、別に理解することも、感動することもなく、ただ、意味がわからなかった人は多いと思います。それは聖書は信仰を持って初めて読めるものだからです。

 確かに、信仰がないと「神の愛」と言われてもピンと来ないでしょうし、つまらないかもしれません。しかし、理解するなら全てに勝って奥の深い書物です。

「み言葉を開けると光を放って無学な者に知恵を与えます」 (聖書)

 時間泥棒の被害を受けている私たち。時を生かして用いること。それは自分について考え、生きる目的を発見し、それに向かって有効に時間配分をする生活にあるように思います。