自分の弱さは神から与えられた恵みである・・・これがパウロの結論です。

　それでは、どうして弱さは恵みなのでしょうか。どうして彼は、自分の強さを誇らないで、弱さを誇ったのでしょうか。いくつかの理由を聖書から理解することができますが、ひとつの大きな理由は、自分の弱さを知ると人は愛し合うことを学べるからです。

　私たちの教会は、昨年、米国から来られた多くのクリスチャンの兄姉による奉仕作業で教会堂を建設することができました。彼らとの交わりは本当に楽しいものでした。そして帰る時、彼らのほとんどが、申し合わせたように一つのフレーズを言ったのです。それは "Thank you for Japanese Hospitality" つまり、日本人の日本的なもてなしに感謝するというものでした。

　ボランティアで米国から来て下さったのですから、私たちも精一杯のもてなしをしたいと思ったこともあるのでしょうが、一般に日本人は、もてなすのは得意でも、もてなされることは苦手です。人のお世話は普通できるのですが、人からお世話を受けるときには、ぎこちない態度になってしまうのです。

　また人に迷惑をかけてはならないという思いが強いあまりに、本当は困っているのに援助を依頼することにためらいを覚えることがあるのではないでしょうか。実は、私自身がそうなのです。

　しかし、聖書は愛し合いなさいと教えています。愛する事も大事なのですが、愛されることも同じように大事なのではないでしょうか。

　しかし、パウロにも肉体の弱さがありました。目の病気、あるいは広く言われているところでは「てんかん」の病があったと思われています。彼は、そのために何度も祈ったようでしたが、いやされることはありませんでした。神様は、その肉体の弱さを取り除く代わりに、ルカという医者を彼のそばにおかれたのです。テモテ書を読むと、投獄されているときでもルカだけは、彼と共にいることが分かります。何と言う恵みでしょうか。

　このように弱さがないと、人から愛してもらうという経験ができないのです。パウロのような人物に弱さがなければ、「私はパウロだ。私は神に頼っているのだから、人の世話なんかになるか」と偏った思いを持つかもしれません。パウロは、自分の弱さによって愛し合うということの、特に愛されるということを学んだのではないでしょうか。

　愛されることに上手になりたいものです。

あなたの横にも、神様はルカを置いて下さっていませんか。弱さは、また神様から与えられた恵みなのですから・・・。